高校生が地元・川尻の酒造会社&老舗菓子店と共同開発
編集部が見つけた SDGsレポ
熊本農業高校の商品開発から販売まで
いま注目されている、地球と人々の暮らしをよりよくするための目標である「SDGs(エスディージーズ)」。このコーナーでは、熊本でSDGsに取り組む団体や人、関連する商品などについて、不定期で紹介します。第1回に注目したのは、熊本農業高校の生徒らがフードロスについて考え、ひびなどが原因で廃棄される卵を使って地元企業と開発した「ぴえん超えてプリン」。1月上旬、「川尻商店 粋」の初売りイベントで生徒自らプリンを販売した様子を取材しました。(莉)
フードロスについて考えた甘酒プリン
「ぴえん超えてプリン」は、限定で300個販売されました。川尻の酒造会社「瑞鷹」の甘酒が使われていることもあり、珍しいと買っていくお客さんが多く、実際に店頭に立って販売した生徒らも「こんなに売れるとは思っていなかった」と喜んでいました。
秀岳館高校三味線部の演奏もあり、多くの人でにぎわったイベント。2日間でプリンは完売し、売り上げの一部は地元の子ども食堂に寄付される予定です。フードロスの対策と地元・川尻への貢献を両立させたプリンの開発は、試行錯誤の連続だったそうです。
廃棄品の卵ならではの商品開発の難しさ
昨年4月からプリンの企画・開発を進めてきた熊本農業高校農業経済科の生徒たち。地元に貢献する学習の一環で、同校に程近い、川尻の特産品を販売するアンテナショップ「川尻商店 粋」に相談。「瑞鷹」の甘酒を紹介され、何か商品を作れないかと考えたそうです。話し合う中で、同校で飼育している鶏の卵に廃棄品が出ている問題に着目。ひびが入っていたり、不ぞろいだったりと、品質には問題ない廃棄品の卵を取り入れた商品作りがスタートしました。
プロジェクトのメンバーが甘酒と卵を使い、それぞれスイーツを試作。その中で、プリンが一番甘酒に合うと商品化が決定しました。生徒らのレシピを基に、川尻の老舗菓子店「天明堂」にプリンの製造を依頼。廃棄品の卵は黄身の大きさや味がまちまちで、安定したプリンの製造が難しく、同店は試行錯誤を繰り返したそうです。甘酒の味をしっかり感じてもらうため粒感をあえて残したり、カラメルではなく黒糖ソースを使ったりと、さまざまなアイデアが集約したプリンになりました。
高校生らしいネーミングセンスの商品名の由来は、「悲しんでいる人がプリンを食べて元気に、笑顔になってほしい」。今回プロジェクトに参加したのは3年生で、今後は2年生にこの企画を引き継いでいくそうです。
養豚のエサに食品廃棄物を活用した取り組みも
同校畜産科では、地元企業から格安または無料で引き取った廃棄品の酒かすや米粉、モヤシの根などを豚のエサに活用した「エコフィード」にも力を入れています。こうして育った「シンデレラネオポーク」の精肉は、コストを抑えながらもうま味が強いと評判に。2019年に実施された、エコフィードによる畜産の優良事例を選ぶ大会では特別賞を受賞しました。
イベントでは畜産科の生徒らも精肉と、豚の脂肪を再利用して作ったせっけんを店頭に立って販売しました。同校を成功例としてエコフィードを全国に広めていくために、農家と企業のマッチング
といった取り組みも考えているそうです。
(随時掲載)
プリン追加販売決定
2月6日(日)に「川尻商店 粋」で再度販売されます。購入希望の方は1月31日(月)までに同店に電話で予約を。
川尻商店 粋(すい)
住所 | 熊本市南区川尻1-3-77 |
営業時間 | 10時~18時 |
休業日 | 水曜 |
駐車場 | 店舗横の「瑞鷹 東肥蔵」と共有 |
インスタグラム | kawashiri_syouten_sui |