ビジネスシーンに役立つ! 言いづらいコトをスマートに伝えるメールテク
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ビジネスマンにとってメールのやりとりは気を使う業務の一つ。中でも、催促やお断り、おわびなど、相手に言いづらい内容や負担になることを伝えるメールは書きにくいものです。そこで、スマートに伝える書き方のコツを専門家に教わりました。
「クッション言葉」駆使し 要旨を分かりやすく簡潔に
催促やお断りのメールは、使う言葉次第で、威圧感や不快感を与えてしまうことがあります。
知っていると役立つのが、前置きとなる「クッション言葉」です。本題を伝えるときつくなりそうな内容でも、「大変恐縮ですが」「こちらの見落としかもしれませんが」など前置きの言葉があるとソフトな印象になります。クッション言葉のバリエーションやあいさつ、締めの言葉のパターンをつくっておくといいですね。
メールで伝える際に最も大切なのは、目的を明確に記述すること。長い前置きや言い訳じみた言葉は省き、伝えたい要旨をできるだけ簡潔に、分かりやすく書くことを意識しましょう。
教えてくれた人
Case-1 催促メール[心は怒りにあふれている…]
求めるアクションにつながる文面に
例)商店会のチラシに入れる原稿が期日を過ぎても一向に届かないため、催促をしなければならない場合
NGメール例
Check 1
件名はメールの要旨とリンクさせると目に留まりやすいです。伝えたい内容を簡潔にまとめましょう。
Check 2
要件に入る前に、自分は誰なのか名乗りましょう。ビジネスメールには必ず署名を入れることも忘れずに。
Check 3
嫌みや脅しにならないように。気持ちを静めて、相手を責めないことも大切です。
添削例
先生からのアドバイス
遅れている現状を受け止め、その後自分がどうしてほしいのか、求めるアクションにつなげる文面にしましょう。滞っている課題を解決するための提案なども入れると、返答しやすくなります。締め切り延長などの場合は、期日や時間も明確に。
Case-2 お断りメール[今後のお付き合いも気になる…]
不採用の理由をはっきりと伝えて
例)いくつかの候補の中から、今回は商談を見送る場合
NGメール例
Check 1
いきなり本題に入るのではなく、まずは相手への感謝を伝えましょう。
Check 2
内容が曖昧で、「結局どっち?」と疑念が湧いてしまいます。相手に気を使い過ぎて、いろいろ書き添えたい気持ちは分かりますが、遠回しになってしまう文面は避けましょう。
Check 3
「Q=品質」「C=コスト」「D=納期」を基準に検討した場合、どこが足りなかったのか、不採用になった理由を的確に伝えましょう。再トライの余地がある場合は、その条件を分かりやすく伝えて。
Check 4
関係性を保つためにも、次につながる言葉を付け加えましょう。
添削例
先生からのアドバイス
まずは相手への感謝の気持ちを伝えることを忘れずに。相手を立てつつ、理由や結論をはっきりと伝えることが大切です。
Case-3 おわびメール[何をどう説明していいのか…]
相手の不安を取り除く対応策を提示
例)納品にいつもより時間がかかり、納品日に間に合わない場合
NGメール例
To:熊本商店
件名:納期遅延の件
熊本商店
クマモト 様
いつも大変お世話になっております。
先日発注いただいておりました商品、
本日○時に納品させていただくお約束でしたが、仕入れ先からまだ届いておりません。①
仕入れ先に、本日○時までに届けてもらうよう発注したつもりですが、
きちんと伝わっていなかったようです。②③
先方に発送状況を確認してもらっているところです。④
状況が分かり次第、あらためてご連絡させていただきます。⑤
すぱいす株式会社 すぱ太郎
Check①
まずは納期が遅れていることへの謝罪をしましょう。
Check②
どうしてこのようなことが起きたのか、経過報告をきちんと。
Check③
自分を保身する言葉や非がないことを強調するのはやめましょう。
Check④
今からできる対応策を明確に。できれば、取り急ぎの対応と恒久的な対策を合わせて提案しましょう。
Check⑤
最後は再度、おわびの言葉で締めくくりましょう。
添削例
熊本商店
クマモト 様
いつも大変お世話になっております。
すぱいす株式会社のすぱ太郎と申します。
先日発注いただいておりました商品につきまして、
仕入れ先から弊社への納品が完了しておらず、明日の貴社納品が難しい状況です。
〇〇様にはご迷惑をおかけすることになり、大変申し訳ございません。
仕入れ先に発送状況を確認したところ、中継地点の〇〇までは届いているということです。
現在、通常より配送に時間がかかっているようで、
発注時に到着日時の確認が行き届いておらず今回の遅延につながりましたことを深くおわびいたします。
代替品として〇〇は本日中にご準備できますので、取り急ぎの対応について相談させてください。
また、現在配送中の商品につきましては、〇日までには必ずお届けできるよう仕入れ先に確認しました。
今後このようなことがないよう、発注の都度、納品日時の確認をするとともに、
できる限り前日納品を徹底するよう仕入れ先と弊社間で再度情報を共有し合いました。
このたびは、弊社の不手際で納品が遅れますことをあらためておわびします。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
すぱいす株式会社 すぱ太郎
先生からのアドバイス
おわびの際は、まずは状況を説明し、今からできる対応策があれば早急に準備をすることが大切です。相手の不安を取り除く対応を心掛けましょう。
こんな場面、ありませんか? 「急なお断りメール」
相手に誠意を持って伝えて
例えば、先に友人と食事の約束をしていたのに、取引先の部長から「相談があるので会社に来てほしい」と電話が入ったとき、あなたならどのような対応をしますか。もちろん、どうしても断れない用事もあると思いますが、その場合は、友人との食事を一方的に断るのではなく、理由を丁寧に説明し、日にちを変えてもらうことができるかなど、相手に誠意を持って伝えましょう。しかし基本は、先約優先。その人が何を大切にするかにもよりますが、自分の中でルールをつくっておくといいですね。
使うべきではない! “NG”フレーズ
ビジネスシーンで使いがちな、次のようなフレーズ。実は避けた方がいい言葉です。
「お手すきの際に…」
時間がある時でよいと判断され、忘れられてしまうことにもなりかねません。期限を明確に伝えましょう。
「今週中にご確認ください」
「今週中」の受け取り方は、「金曜の終業まで」「金曜24時まで」「月曜の始業まで」など、業種や人によって異なります。曖昧にせず、日時まできちんと伝えましょう。
「OKの場合は返信不要です」
そのメールを見ていないことも考えられます。可否を確認する場合、情報がしっかり伝わっているかを確認するためにも必ず返信してもらいましょう。
ビジネスメール実態調査から…
日本ビジネスメール協会が実施しているビジネスメール実態調査によると、7割を超える人が、自分のメールに不安を抱くことがあり、理由の第1位が「正しく伝わるか」(74.34%)でした。また7割の人が、1日(24時間)以内に返信が来ないと「遅い」と感じているという結果も。今回教えてもらったテクニックをビジネスシーンで生かしていきたいですね。
参考:日本ビジネスメール協会「ビジネスメール実態調査2022」