【夏休み自由研究】身近に科学「スイーツを作って自由研究」
「科学」は学校で勉強するだけでなく、実は身近にあるもの。例えば、お菓子作りは科学実験に似ていて、材料の組み合わせや手順にはちゃんとした理由があります。そこで、科学が身近に感じられるスイーツ作りを県立教育センター(山鹿市)の先生方に教わってきました。スイーツ作りを夏休みの自由研究にするコツも紹介します。
キッチンで「科学」「なぜ?」を発見
市販されているものや何気なく食べているものにも生かされている科学の考え方。「なぜ?」の気持ちで見てみることが自由研究のテーマにつながります。
※「くまにちすぱいす」2021年7月30日掲載
※2023年7月19日更新
科学的な視点で、変化を調べてみよう
料理は一番身近な科学です。調理中の変化にも科学的な根拠があるため、普段から疑問を持って見ると新たな発見があるはずです。
難しく考えがちな夏休みの自由研究も、料理をテーマにすると手を付けやすいかもしれません。ここで紹介したスイーツをきっかけに、「他のものではどうか?」「入れる量を変えればどうなるか?」といったポイントから実験をし、変化を比べると立派な研究です。おいしく、楽しいスイーツ作りで、科学的な視点を育てていきましょう。
教えてくれたのは
県立教育センター 教科研修部 理科研修室 室長
大里 卓さん
県立教育センターのHPでは、自由研究のヒントを多数紹介しています。ぜひチェックを!
レモンシロップで色が早変わり! ブルーベリーミルクゼリー
酸性・アルカリ性によって色が変化するブルーベリーの特性を生かしたミルクゼリー。酸性のレモンシロップをかけると、魔法のように早変わりします。ブルーベリーを少しつぶして入れると変化が分かりやすくなります。
[SCIENCE]ココガカガク
重曹(アルカリ性)を加えることで青っぽくなったゼリーが、レモンシロップ(酸性)をかけるとピンク色に変わります。これは、ブルーベリーに含まれる色素のアントシアニンによるもの。他に色が変わる果物や野菜がないか調べてみましょう。
教えてくれたのは
理科研修室 指導主事
馬場剛直さん
目に見えない「菌」を調べよう ヨーグルト
人間に役立つ菌はたくさんあります。ヨーグルトに含まれる乳酸菌もその一つです。牛乳が乳酸菌の力でヨーグルトに変わる実験を通して、目には見えない菌の存在を知ることができます。
[SCIENCE]ココガカガク
ヨーグルトは商品によって含まれる乳酸菌が異なります。そのため適温もさまざまで、20〜40℃ぐらいで牛乳はヨーグルトに変化します。ヨーグルトや牛乳の種類を変えたり、温度を変えたりして菌の増え方(固まるまでの時間)を比較するといいですね。
教えてくれたのは
理科研修室 指導主事
江川佳貴さん
ふっくらとした不思議な食感に エアインチョコ
重曹は、ベーキングパウダーにも含まれる成分で、食材を膨らませます。チョコレートに重曹と酢を入れて加熱すると発泡してエアインチョコに。ふわふわの食感に変わります。チョコレートが固まらないよう、素早く作るのがコツ。
[SCIENCE]ココガカガク
重曹は「炭酸水素ナトリウム」のことで、水や酢(=酸)と混ぜたり、熱を加えたりすると気体の二酸化炭素が発生し、生地を内側から押し上げ膨らませます。重曹や酢の量を変えたり、水と酢で比較したりすると、面白いと思います。
教えてくれたのは
理科研修室 指導主事
田中和惠さん
塩と氷で急速冷凍 スイカシャーベット
熊本の特産品、スイカを使ったシャーベット。キウイゼリー、ヨーグルトゼリーの3層にしてみました。スイカシャーベットを作る際、氷と塩を使って冷やすのがポイントです。
[SCIENCE]ココガカガク
氷に塩を混ぜると0℃以下まで温度が下がります。塩と氷の量を変えて温度の変化を見てみるのもいいですね。また、キウイにはタンパク質を分解する酵素が入っていて、生のままではゼラチンが固まりません。この働きからキウイが肉を軟らかくすることに着目しても◎。