肥後にわかの魅力をもっと伝えたい【村上美香のヒトコトつれづれ】
熊本が生んだ大スター、ばってん荒川さんの没後20年。荒川さんの功績をたたえ、人生を振り返る「ばってん荒川まつり」(1月11日)に参加します。
ばってん荒川さんといえば、肥後にわか。即興の芝居にわかは明治時代に熊本に伝わり、肥後にわかとして庶民に愛され続け、昭和30年代には盛んに上演されていました。そして、「お米ばあさん」ことばってん荒川さんの活躍で、全国にその名を知らしめました。
そんな肥後にわかの舞台に挑戦です。実は私、肥後にわかの舞台に立つのは人生2度目。1度目は25年くらい前、生前の荒川さんのリサイタルでのこと。にわかというだけあって、台本がなく、だいたいの流れを口伝えで聞き、あとは即興です。この時学んだのが「間合い」の大切さ。お客さんが考える時間や笑う時間を考慮して放つ荒川さんのせりふで、会場が笑いの渦に包まれていくのに圧倒されたのを覚えています。
あれから時が経ち、再び立つ肥後にわかの舞台。今回は、プロの肥後にわか師、ばってん城次さんの演出で、荒川さんも演じた題目「祝いの後は雨のち晴」がよみがえりました。欠点だらけの家族の姿を通した人情、家族愛をテーマにした作品は、お稽古していても「あー、いい話だなぁ」と思います。
プロのにわか師ばってん城次さんとキンキラ一太さん、そして大田黒浩一さんのネイティブ熊本弁は、愛嬌(あいきょう)たっぷりであったかい。今の時代だからこそ、地元愛にあふれる肥後にわかの魅力をもっと伝えたいです。