タイパ時代の音楽の中で「エジソン」に感じた新鮮さ【円盤で時間旅行121回 嶋田宣明】
最近ちまたでよく使われる言葉に、三省堂「今年の新語2022」大賞にも選出された「タイパ」という略語があります。この言葉はタイムパフォーマンスの略で、いかに時間を効率的に使うかという意味なのですが、コロナ禍という時代が生んだ一つのスタイルなのではないでしょうか。対面を避け続けた結果、大学の講義などオンラインでの動画は倍速で見るようになり、男女の出会いさえもマッチングアプリなどを使うといった効率化された時間の消費スタイルに変わっていったのです。
実はこのタイパ革命、音楽にも大きな影響を与えていて、現在ヒットしている曲にもその傾向が見られます。昨年注目を集めた、藤井風やOfficial髭男dism、米津玄師、さらにAdoやYOASOBIなどは、いきなり歌から始まったり、サビから展開する曲だったりと、イントロがない曲が次々とヒットを飛ばしていきました。私たちの時代の音楽と比較すると、イントロのギターのフレーズや間奏のストリングスの盛り上がりなどに一喜一憂したような楽しみ方は、もはや過去となってしまったのかと味気なさも感じてしまいます。
そんなタイパに影響された音楽の中でも、今回ご紹介する曲は初めて聴いた時に新鮮なものを感じた、水曜日のカンパネラの「エジソン」という曲。今の時代を反映した歌詞の面白さや韻を踏んだラップなど、一度耳にすると忘れられない曲となりました。
さて、皆さんの耳にはどう聴こえるのでしょうね。
※今回紹介したレコードは5月23日(火)放送のFM791「昭和名曲堂コモエスタ辛島町」(16時~18時55分)で放送する予定です。
しまだ・のぶあき/1951年生まれ、熊本市出身。東京のデザイン会社でコピーライターとして社会人デビュー。帰熊後、広告代理店でコピーライター&プランナーとして活躍。現在はFM791「昭和名曲堂コモエスタ辛島町」(火曜・16時~18時55分)、同「ミッドナイトコモエスタ」(水曜・0時~1時=全国コミュニティFM番組)、RKKラジオ「昭和歌謡大作戦」(月曜・21時~21時55分)の選曲家、パーソナリティーを務め、幅広い年齢層に昭和の曲を届けている。