懐かしさと新たな発見 廃線をたどる 旧国鉄宮原線 小国町編

1984(昭和59)年に30年の歴史に幕を下ろした「旧国鉄宮原(みやのはる)線」。阿蘇郡小国町を走っていた高原鉄道跡は、鉄道遺構を見学できる遊歩道になっています。来年、登場する新千円札の肖像・北里博士の生誕地としても注目を集める小国町を訪ねてきました。

新千円札で話題 北里博士の関連情報も!

旧肥後小国(ひごおぐに)駅

1954(昭和29)年3月に設置された「肥後小国駅」。宮原線の終着駅で、駅の所在地「宮原」が路線名の由来になりました。


足取り軽く行ってみよ。旧国鉄宮原線ウオーク

国鉄宮原線跡の遊歩道には、森や里山の風景に溶け込む鉄道遺構など見どころがたくさん。散策後は小国グルメも楽しんじゃいましょう。

アーチ橋、トンネルなど 貴重な鉄道遺産の宝庫

旧国鉄宮原線は、大分県九重町にある「恵良(えら)駅」から熊本県小国町の「肥後小国駅」を結ぶ26.6㎞の路線でした。昭和59年に役目を終えた後、肥後小国│北里間は遊歩道として整備され、小国町の散策コースとして人気を集めています。
見どころは、アーチ橋やトンネルなどの鉄道遺構群。「特に骨組みに竹を使用したと伝えられる『竹筋(ちっきん)橋』は珍しさもあって、全国から見に来られます」と、旧北里駅近くの研修交流施設『木魂(もっこん)館』館長の江藤理一郎さん。ビギナーには駐車場完備で、4月以降に宮原線のVRコンテンツも楽しめる『木魂館』からスタートし、「幸野川橋梁」でUターンする往復約40分のコースがお勧めです。

話してくれたのは

『木魂館』館長
江藤 理一郎 さん

5歳の時に「さようなら宮原線」の記念列車に乗車しました(笑)。廃線ウオークは途中、足元が悪い所もあるので歩きやすい靴でお越しください。

江藤 理一郎 さん



(1)幸野川橋梁(こうのがわきょうりょう)

優雅でダイナミック! 竹を骨組みしたアーチ橋

樅木川に架かる「幸野川橋梁」は、レトロで優雅なコンクリート造りの6連アーチ橋。昭和12~14年ごろに建造され、当時の金属供出のため、鉄筋の代わりに竹が使用されました。「竹筋橋には真偽が不確かなものもありますが、幸野川橋梁は建造中の写真があり、当時の現場監督からも『竹を使った』と聞いています」と江藤さん。正真正銘の竹筋橋です。

全長116mの「幸野川橋梁」。 宮原線すべてのアーチ橋が登録有形文化財です

全長116mの「幸野川橋梁」。 宮原線すべてのアーチ橋が登録有形文化財です

橋梁を走る車両。地域の通学の足などとして活躍していました

橋梁を走る車両。地域の通学の足などとして活躍していました


(2)旧北里駅

高原のホームを再現

『木魂館』から徒歩3分ほどの場所にある「北里駅跡」。駅跡は農産物直売所になり、その隣には駅名標が立つプラットホームが。のどかな無人駅そのものの雰囲気です。

北里集落を見下ろすプラットホーム

北里集落を見下ろすプラットホーム


(3)旧肥後小国駅

道の駅で見つけた鉄道遺構

現在「道の駅小国ゆうステーション」がある場所に「旧肥後小国駅」がありました。現在、敷地内には線路や駅名標などが残されています。

駅名標と線路は、鉄道が通って いたことを示す大切な遺産

駅名標と線路は、鉄道が通って いたことを示す大切な遺産


(4)北里トンネル

森の中にポッカリ開いた 全長298mの鉄道トンネル

『木魂館』から線路跡の山道を5分ほど歩くと「北里トンネル」が見えてきます。全長298mで、中は真っ暗ですが、出入り口に照明スイッチがあるので安心。4月以降に、トンネル内で映像を楽しめるプログラムがスタートします。

トンネル内は退避用のへこみがあったり、山水が染み出していたり。いろんな発見があります

トンネル内は退避用のへこみがあったり、山水が染み出していたり。いろんな発見があります

多彩な体験プログラムが登場

4月以降には、廃線跡の散策コースをより楽しくする体験プログラムが登場。普段は入ることができないアーチ橋を電車で走るような「VR体験プログラム」や、トンネル内で宮原線の歴史が映し出される「北里トンネルシアター」など、里山の鉄道を追体験できます。

お問い合わせ

(一財)学びやの里

住所
阿蘇郡小国町北里371‐1
TEL
0967-46-5560

北里トンネルシアターのイメージ

北里トンネルシアターのイメージ


[北里エリア]新千円札で注目度アップ 北里柴三郎ゆかりの地で学んで食べてのんびりと

(5)ごはん処 北里バラン

廃線ウオークの起点「木魂館」 食事や温泉も楽しんじゃおう

『木魂館』に併設されるお食事処では、小国産のあか牛や小国豚を味わえるメニューがいっぱい。中でも生産者から一頭買いするあか牛は、肉のうま味が濃厚なのにあっさりしていると大人気です。イチオシは特製ダレでいただく「焼肉定食」。屋外であか牛を満喫できるBBQセット(要予約)もあります。

赤身と脂身のバランスが良い部位を使った「焼肉定食」1980円

赤身と脂身のバランスが良い部位を使った「焼肉定食」1980円

バラン温泉 博士の湯

薪で沸かした天然温泉にゆったりつかれる『博士の湯』。肌触りがやわらかい炭酸水素塩泉は、観光客やキャンパーに大人気です。入浴料/500円、小学生以下250円

お問い合わせ

バラン温泉 博士の湯

住所
阿蘇郡小国町北里371‐1
TEL
0967-46-5560 (木魂館)
営業時間
北里バラン11:30~15:00 OS、博士の湯16:00~21:00(土・日曜、祝日は14:00~)
休業日
火曜(祝日の場合は翌日)


(6)北里柴三郎(キタザトシバサブロウ)記念館

現代医学の礎築いた偉人 映像駆使した新施設も登場予定

2024年度にお目見えする新千円札の肖像画に採用される北里柴三郎博士。小国町出身の博士は、図書館「北里文庫」を寄贈するなど町の発展にも大きく関わりました。『北里柴三郎記念館』では、生家をはじめ博士に縁のある建物が並び、博士の人生をたどることができます。8月ごろには動画やAR、3Dを駆使したシアターホールが完成予定。現代医学の礎を築いた博士の功績を、楽しくリアルに学ぶことができます。

大正5年に寄贈された図書館「北里文庫」。 現在は、博士の遺品などが展示されています

大正5年に寄贈された図書館「北里文庫」。 現在は、博士の遺品などが展示されています

北里文庫と同時期に建てられた木造2階建ての貴賓館。2階からは涌蓋山を眺望

北里文庫と同時期に建てられた木造2階建ての貴賓館。2階からは涌蓋山を眺望

受付で見つけた新千円札の顔ハメ看板。移動可能なので、館内の好きな場所で撮影できます

受付で見つけた新千円札の顔ハメ看板。移動可能なので、館内の好きな場所で撮影できます

お問い合わせ

北里柴三郎(キタザトシバサブロウ)記念館

住所
阿蘇郡小国町北里3199
TEL
0967-46-5466
営業時間
9:30~16:30
休業日
なし
駐車場
20台
入館料
400円、高校生以下250円、 未就学児無料

[宮原エリア]道の駅や昔ながらの商店街で、小国グルメを探索

(7)「道の駅」小国ゆうステーション

小国町に到着したらまずココへ 情報収集&買い物スポット

「ASOおぐに観光協会」を併設し、情報収集・交流・休憩ができるスポット。1階の物産売り場には、小国杉グッズや地元素材を使った加工品など、地元の物産が豊富にそろいます。人気はジャージー牛乳を使った乳製品やお菓子。おやつに最適です。

小国杉の角材を組み上げた木造立体トラス構法で建てられた「ゆうステーション」

小国杉の角材を組み上げた木造立体トラス構法で建てられた「ゆうステーション」

県境の道の駅とあって、近隣町村の商品も並びます

県境の道の駅とあって、近隣町村の商品も並びます

ほんのり甘い小国ジャージー牛乳を使った「飲むヨーグルト」や「かりんとう」など名物がいっぱい!

ほんのり甘い小国ジャージー牛乳を使った「飲むヨーグルト」や「かりんとう」など名物がいっぱい!

お問い合わせ

「道の駅」小国ゆうステーション

住所
阿蘇郡小国町宮原1754‐17
TEL
0967-46-4111
営業時間
8:30~17:00
休業日
なし

(8)Asoful kitchen(アソフルキッチン)

小国のおいしいものがワンカップに

小国産シルクスイートを使った「芋ンブラン」が名物。やさしい甘さの芋ペーストの下には、地元の菓子工房「kul」が手作りするメレンゲクッキーがイン。なめらか&サクサクが好相性です。

ジャージーバニラアイスも一緒に味わえる「アイスinハーフサイズ」900円

店舗情報

Asoful kitchen(アソフルキッチン)

住所
阿蘇郡小国町宮原1760‐3 道の駅小国隣 「ウッディタウン」内
営業時間
10:00~17:00
休業日
月曜
Instagram
asoful kitchen
駐車場
あり

(9)手打ちそば 優心(ゆうしん)

みずみずしさを味わう外一そば

“十割”と”二八”のいいとこ取りをした”外一(といち)そば”を味わえる店。九州産のそばを自家製粉し、手打ちした麺は、みずみずしい風味と喉越しの良さが印象的。スッキリとしたつゆとのバランスも抜群です。

南小国産舞茸やエビなど豪華な天ぷらがセットになった「天ざる」2080円

南小国産舞茸やエビなど豪華な天ぷらがセットになった「天ざる」2080円

店舗情報

手打ちそば 優心(ゆうしん)

住所
阿蘇郡小国町宮原1635‐5
TEL
0967-46-2839
営業時間
11:00~15:00(土・日曜は~16:00、OSは各30分前、夜は要予約)
休業日
月曜(祝日の場合は翌日)
駐車場
6台

北九州で見つけた!宮原線の鉄道車両

昭和44年まで宮原線を走っていた「国鉄キハ0741号」。北九州市の『九州鉄道記念館』には、当時の車両(国指定重要文化財)が保存されています。3月25日㈯・26日㈰の「春の鉄道マンス2023」では、内部の見学ができますよ。

展示中の「キハ42055号気動車(キハ0741号気動車)」。こんな車両が走っていたなんて萌えます

展示中の「キハ42055号気動車(キハ0741号気動車)」。こんな車両が走っていたなんて萌えます

1968年、肥後小国駅の様子

1968年、肥後小国駅の様子

お問い合わせ

九州鉄道記念館

住所
北九州市門司区清滝2‐3‐29
TEL
093-322-1006
営業時間
9:00~17:00(入館は16:30まで)
休業日
第2水曜(7月は第2水・木曜、 8月無休、祝日の場合は翌日)
入館料
300円、中学生以下150円、4歳未満無料

大人も子どもも楽しめる鉄道遺産を応援します!

温泉とジャージー牛乳の町に鉄道が走っていたとは今回初めて知りました。町の人たちが大切に保存している鉄道遺構に、多くの人に触れてほしいですね。

幸野 向日葵 さん

読者スタッフ

幸野 向日葵 さん

小国町観光のお問い合わせは

お問い合わせ

ASOおぐに観光協会

TEL
0967-46-4440
営業時間
8:30~17:00
備考
https://ogunitown.info