介護を支える「レスパイト」【村上美香のヒトコトつれづれ】
「レスパイト」という言葉をご存じですか? 「一時休止」や「休息」という意味です。レスパイトケアは、在宅介護をしている人が疲れている時や、冠婚葬祭などの事情で在宅介護が難しい場合に、施設が短期間の入所を受け入れる取り組みです。
そんなレスパイト機能がある「穂っぷこども在宅&心身クリニック」(合志市)に、お邪魔してきました。明るい室内で、天井にイルカやアザラシの絵を見つけると、「寝たきりの子はいつも天井を見ているから」と島津智之院長が教えてくださいました。認定NPO法人NEXTEPの理事長で小児科医の島津院長は、これまで障害児や不登校児の支援などに取り組んでこられました。元々は総合病院にお勤めでしたが、重度の心身障がいのある子どもたちやご家族と向き合っていくうちに、「子どもたちのお父さんやお母さんたちが安心できる場所をつくりたい」と思ったそうです。ここは24時間の看護付きでお泊まりもできる「医療型短期入所」の施設で、現在ベッドは7床。1カ月に合計7日まで子どもを預けることができます。
生まれた時から病気の子どもがいる場合、お母さんが24時間365日、お世話をされているケースも多く、「このクリニックができてから、子どもを産んで初めて、4時間のまとまった睡眠が取れました」というお母さんもいらっしゃったそうです。「子どもたちから『生きたい』という生命力が伝わります。大切な命を守るには役割分担がいるんです」という島津院長の言葉が印象的でした。