30代後半から知っておきたい心身の変化 その不調、プレ更年期かも!?
30代後半から40代前半の女性が、更年期と同じような心身の不調を感じることがあるそうです。閉経前後の更年期より前に訪れる「プレ更年期」の症状や原因、治療法などについて春日クリニックの清田真由美院長に聞きました。
女性ホルモンが減少 ストレスや過労も原因に
更年期障害は一般的に40代後半から50代半ばの女性が感じやすい症状ですが、「プレ更年期」は、閉経に向けて心身が変化し始める、もう少し若い世代の女性に見られる更年期と同様の症状を指します。「プレ更年期に医学的な定義はないものの、早ければ30代半ばから現れてしまうため、不調の原因が何なのか分からず悩んでいる女性も少なくありません」と清田院長。
更年期障害は閉経により女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が激減することで引き起こされます。一方、プレ更年期は卵巣機能が緩やかに低下し、ホルモンの分泌量が減少することに加え、ストレス・過労による自律神経の乱れなどの要因が絡み合って起こります。
30代後半から40代半ばは、家事や仕事、子育てなどで忙しい人が多く、知らないうちにストレスが積み重なる時期です。「症状は心と体の弱点を教えてくれます。不調を感じたら自分をいたわり、更年期に向けて今の生活スタイルを見直すチャンスと捉えて」
更年期の症状を軽くするためにも、プレ更年期からできる対処法を知っておきましょう。
教えてくれたのは
医療法人社団 清心会 春日クリニック
清田 真由美 院長
更年期の悩みやつらさを分かち合う「おりひめの会」を1999年7月7日に発足。年に5回程度情報交換している。
こんな症状ありませんか? 心と体に現れるプレ更年期の症状を確認しましょう
※プレ更年期の不調と似た別の病気(甲状腺疾患、うつ病など)が隠れていることも。症状が気になる場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
Q. 症状に気付いたら?
A. まずはセルフケアを意識しましょう
プレ更年期の不調は、偏った食生活や睡眠の質の低下のほか、過度なダイエットや過労、ストレスなどさまざまな要因が絡んでいます。まずは自身の体をいたわるセルフケアに取り組みましょう。
Q. 受診の目安は?
A. 生活に影響がある場合はかかりつけ医へ
健診の結果で異常値が見られたり、月経の乱れ、不眠・不安感・めまい・頭痛などの身体不調で生活に影響を及ぼしたりしている場合は、かかりつけ医への受診を検討してみましょう。
Q. どのように診断?
A. 問診で総合的に判断します
診断の基本は問診です。不調の原因が生活習慣の乱れによるものか、女性ホルモンの不足によるものか、ストレスなどから引き起こされる自律神経の乱れによるものか、あるいはそれ以外の疾患によるものか、症状や生活習慣などの話を聞きながら総合的に診断します。
Q. 治療方法は?
A. 生活習慣の改善が基本です
生活習慣の見直しが基本となります。症状によっては漢方などを用い、不調を和らげつつ、改善へ導きます。
上手に乗り越えるには
自律神経が乱れないようにストレスをため込まないことが大切です。
バランスの取れた食生活
納豆やみそ汁などの大豆製品や発酵食品を取り入れ、バランスの取れた和食中心の食生活を心掛けましょう。
睡眠の質を上げる
就寝前はスマホやPCなどを見ないように気を付けたり、入浴後30分以内に布団に入ったりすると質の良い睡眠を確保できます。
ポジティブになれるものを
好きな音楽を聞いたり、好みのアロマで癒やされたり、ポジティブな気持ちになれるものを取り入れましょう。
ゆっくり深呼吸
呼吸は自分の意思で自律神経のバランスを調整できる最適な方法です。意識的に深呼吸をすることで、心の安定につながります。
男性にも訪れる更年期
「男性更年期」は、男性ホルモンの減少やストレスが原因で、40歳前後~60代前半の男性に発症しやすく、筋力低下、倦怠(けんたい)感など心身の不調に加え、性欲の低下やED(勃起不全)といった性機能症状が出ることも。放置してしまうと、自律神経失調やうつなどの精神症状が強く現れることがあります。自分の症状を確認して、当てはまる診療科に早めに相談しましょう。